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オヤジの宝の地図・1
2015-10-06 Tue 22:05
シナリオ名   :オヤジの宝の地図
製作者      :春秋村道の駅様
入手場所    :春秋村道の駅

 「ふむ、これなんかどうじゃろう? 魔物の集団の討伐だが」
 「いや。うちに集団の対処はまだ無理だよ。
  眠りの雲もなければ範囲技の類もない」
 「ふっ、賢者の塔の魔術などわしには必要ないのじゃ」
 「それよりこっちの薬草採りはどうかしら? 安全でしょ」
 「そういうのならわたしもとくいです!」
 「あ、その山は止めた方がいいよー?
  この前ミノタウロスが出たんだってさ。
  で、あとは50spにもならない依頼ばっかりだから、
  今日はいっそもう遊びに行かない? トーリちゃん」
 「なんで私なのよ」
 「3対1よりは1対1がいいに決まってるじゃん」
 「もう! 新人さん達! 雑談してるだけならどいてくれる?」
 「あ、シューヴせんぱいおはようございますー!」
 「先輩……ベルちゃん、それよかったらもう一回お願い」 
 
  朝の掲示板前は、今日も比較的賑やかだ。
 
 「うーん……」

  引率としての初依頼の二日後、イブルは張り紙の前で悩んでいた。
  まだまだ纏まりのない六人がどの程度物事をこなせるのか、
 集団での経験があまりないイブルにはその判断がつかないのだ。
  例えば、彼一人ならどうとでもなる依頼はあるのだが、
 それは簡単、という意味ではなく対処法を知っているから、である。
  それを知らない相手を連れて行けば、下手すれば大惨事だ。

 (とはいえ、それを教え込むのが俺の役割なんだよな……)
 
  傍らで難しい顔をしながら依頼書をめくっている妹の姿を見る。
  この子の為にも助け合う事の重要性を教えなければならない。

 (参ったな、こりゃ)

  先行きの不透明さに、思わずイブルからは溜息がこぼれた。
   
 「どうしたどうした?溜息なんぞついて」
 
  カウンターで皿を拭いていた親父が、顔を上げた。
 
 「そんな事じゃ幸せが逃げてしまうぞ?」
 「それなんだけどさ……」
 
  それは、いつも通りの会話。
  けれどそれが、今回の冒険の始まりだった。  
   
 

************************************



 「これが宝の地図、ねぇ」 
 
  先頭を行くイブルは太陽にその紙を翳す。
  しかし当然ながら、特別なものは何も浮かび上がったりはしない。
  親父がその場でささっと書いた地図なので当然だ。
 
 「というか、どう見てもただのメモ紙じゃろ? それ」
 「こっちがわになにかかいてるのです! 
  えーっと・・・にんげん?」
 
  ベルが下から紙を覗き込みながら首を捻る。
 
 「ベル。それはニンジンって読むのよ。
  ついでにその下はジャガイモ、お肉、お酒が十本」 
 「あ、それこの前俺が頼まれたお使いの紙だよ。
  そこのお嬢さんがいい酒をおまけにくれて重かったんだ」
 
  そんなディーンの自慢めいた言葉を、トーリはふーんと流した。
 
 「ま、無駄遣いはもったいないし、いいんじゃない」 
 「しかし、本当にこんな小さな森に宝なんぞあるのか?
  ……正直、信用ならんがの」

  そう、彼らは今、宿から少し離れた森に来ていた。
 
 『仕方ない――
  お前達、依頼が見つけられないなら
  宝探しに行かないか。
  無事に持って帰れたら500spやるぞ』

  そんな言葉と共に親父がくれた手書きの地図。
  イブルの手の中のそれは、ここまでの言葉での説明ではなく、
 この先にある池の傍の木に×マークが描かれている。
  陳腐で分かりやすいそれは、まるで子供の書いた物にも似ていた。 
  
 「あら、でもここはいい森よ? 
  あの木には鳥が止まっているし、
  ほら、ここにもそこにも薬草が自生してるわ」
 「へぇ、フィーは詳しいんだねえ。どこどこ?
  せっかくだし集めて帰ってリューンで売ろうよ」
 「ちょっとディーン。馴れ馴れしく呼ばないでちょうだい。
  そう呼んでいいのは家族だけなんだから」
 
  肩に触れてくる手を鬱陶しそうに払いながら、
 フィアルは頬を膨らませた。 

 「フィー、ちょっと落ち着け。
  野生動物がいるって事はそれを餌にする生き物も出るんだからな。
  昔からこの辺りは狼が出るって親父も言ってただろう?
  ……どうもこの辺らしいぞ」
 
  イブルが周囲に視線を向ける。
  ディーンが気にした様子がないのはありがたいが、
 こんな所で喧嘩させる訳にもいかないのだ。
  特に、すぐ近くに何かが潜んでいるのを感じる今は。 
  
 
  ***   ***   ***   ***   *** 
 
      
  その直後、想像通りに狼に襲われたイブル達は、
 すばしっこい彼らに多少苦戦しながらも、
 どうにか優勢で戦闘を進めていた。  
  
 「爺さん、そっちに行ったぞっ!」
 
  ディーンがフェイントを仕掛け、相手の進路を誘導する。

 「問題なく準備完了じゃわい。我が闇の刃を喰らえーーい!」

  芝居がかった仕草で印を組んだオーギュストの両手に、
 それぞれ闇色のチャクラムのようなものが生まれる。
  最後の狼はそれに切り裂かれ、キュゥンと尻尾を巻いて逃げていった。
  他の二頭は確実に息の根が止まっているのを確認し、
 ようやく一息ついたイブルは、軽く動かした腕の痛みに顔をしかめた。
 
 「ふぅ、曲がり角の先で待ち構えてるとは……皆は、怪我がないか?」
 「怪我したのはお兄ちゃんだけよ。なのに人の心配ばかりして。
  とにかく! 血の匂いは面倒な事になりそうだから癒しちゃうね」
 
  一方、イブルがそれとなく少女達を庇っていたのに
 気付いていたベルはちょこんと頭を下げた。
 
 「ベルはへいきなのです。イブルさま、ありがとうございました」
 「ならよかった。大した傷じゃないから気にしなくていいよ」 
 「もう、大した傷だってば。時期によっては感染症も起こるのよ」 
  
  そう言って少し唇を尖らせながらも、
 フィアルは兄の腕に走った傷へと森の力を送り込む。
  ドゥルイドが使うものとよく似たその術は、
 それを経由する彼女の擦り傷などもついでに癒しながら、
 イブルの傷を綺麗に消して見せた。
 
 「狼なら平気ね。この前のスライムよりは上だけど」 
 「ま、あの時の魔法生物は最弱に近い生き物じゃからのぉ。
  だがどちらにせよ儂の術で一撃じゃ。そう怖くはなかろう」
 
  武闘派な二人は慣れてきたのか少し余裕がある表情になっていた。
  それは良い事でもあるが、イブルは引率として一応クギを刺す。

 「油断は禁物だよ。こんな風に怪我したりするしね」
 
  そう言いつつ指や腕に異常が残っていない事を確かめた彼は、
 感謝の意味を込めて妹の頭をぽんぽんと叩いた。
 
 「もう、子ども扱いは止めてっていってるのに」 

  憮然としながらも嬉しそうな妹を置いてイブルは周囲を見渡す。
  さっきから声が一つ足りない気がしたのだ。
  そして、その声は空から降ってきた。
 
 「おーい、ちょっと木から離れてー!
  あ、押し倒されたいなら話は別だけどー!」

  当然、従わない筈もなく、全員が離れた所で、
 ディーンが木から飛び降りてきた。
  結構な高所にいたようだが傷一つない。 
 
 「いきなり何をしとるんじゃ、お前さんは」
 「いい物見つけたのさ。ほらほら」 

  ポケットから取り出したその手には、
 この辺りでは見かけない黄色いミカンが乗っていた。
  
 「あら、珍しいわね」
 
  トーリがいつもよりほんの少し硬い表情を緩めた。
  ディーンの笑みが少し深まる。
 
 「トーリ、これ好きなの? あげようか?」
 「別にいいわ。そこそこのお値段で売れるのよ、それ」
 「そー……ちぇ」

  しっかり者の娘は青年の思惑に気付かず、
 最近の果物相場について思いを馳せるのであった。

続く
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