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こちらはカードワースのリプレイっぽい書き物置き場です。
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オヤジの宝の地図・2
2015-10-06 Tue 22:20
 「地図によると、宝はここにあることになってるな」 
 
  地図と照らし合わせた場所にあったのは随分と大きな木だった。
  太い幹に開いた穴が、まるで冒険者達を威嚇する顔のようにも見える。
 「でも、あれはトレントのおじさんじゃないです!」
 
  自称元妖精のベルはそう断言して見せた。
  確かに、トレントだとしたら、その根元に屯する狼達は、
 ちょうどいい餌になっていただろう。
 
 「しかし、真ん中のはずいぶんとでかい狼じゃのぉ。
  こっちにゃ気付いておるようじゃが
  大きな欠伸をして……馬鹿にしとるんかい」
  
  この場で引けば見逃してやる、とでも言うように
 こちらを格下に見て動かない巨大な狼の様子に、
 怒りのあまりドスの利いた声でオーギュストが笑う。
  その顔は傍にいたベルが思わずフィアルにしがみ付くほどであった。

 「お、おじいちゃんがこわいのですぅ」 
 「ちょっとベルを怖がらせちゃ駄目でしょ? おじいちゃん。
  それに、あんまり怒ると体に毒よ?」
 「誰がおじいちゃんじゃーー! ……あ、わしじゃった」
   
  やれやれ、とオーギュストは深呼吸をする。
  少し状況が落ち着いたのを計らい、トーリが口を開いた。
      
 「でも……宝を探すには、あれと戦うしかなさそうね」

  相手は巨大な狼と、その取り巻き三匹。
  トーリはそちらをチラッと見て 唇を少し噛み悔しそうだった。

 「トーリちゃんらしくないねえ。
  いつもみたいに、一人で突っ込んでいかないの?」 
 「会って間もないのに人を戦闘狂みたいに言わないでくれない?
  相手が私より強い事位見れば分かるわよ」
 
  トーリがディーンを睨みつけ、場の空気が少し凍った。
 
 「あんなにおおきなおおかみさんなんて、きいてないです」
 「まあ、親父もきっと知らんかったんじゃろうて」

  巨大な狼がそれだけ強そうだったからだろうか? 
  他のメンバーにも諦めのような気配が漂い始める。
  それを振り払ったのは、
 
 「戦おう」
 
  と言うイブルの言葉だった。
 
 「確かにあいつは手強いと思う。
  俺一人では、正直勝つのは難しいよ」  
 
  だから、と彼は全員を見回す。
 
 「皆で協力しよう。
  大体ここで引き下がって何になる? 何の為にここまで来たんだ。
  安全ばかり見てたらこれから先、何にもやれないだろ?」
 
  その言葉に何人かが少しはっとした表情を見せる。
  その中で、フィアルは静かに隣の兄の顔を見つめた。
  よそを向いていてこちらを見ていない兄だが、
 その言葉は彼女自身に言っているような気がしたのだ。
 
 「でも、イブルさま……」
 
  何かと足手まといになっているのを自覚しているのか、
 ベルは悲しげな顔で俯いてしまう。
  その頭をイブルは軽く撫でた。
   
 「大丈夫だ。出来る事で構わないからやれる事をやってみよう。
  別に無謀な事をやろうって言うんじゃない。
  俺達だったらあの狼を退けるくらいできると思わないか?」
 
  そうして、イブルは笑う。
  何も不可能な事はない、とその目が雄弁に語っていた。  
  
 「俺達だったら、出来るさ」
 
  あたりに長く沈黙が走る。
  最初にそれを壊したのは、トーリが武器を持ち替えた音だった。
 
 「まったく、何の根拠があるんだか」
 
  言葉とは裏腹に、武器の状態を確認するその姿は、

 「うわ。トーリちゃんやる気満々。手伝おうか?」
 「結構よ。……まあ、協力したいってのなら考慮するけど?」  
 「ふん、狼程度ですごすご帰るのは大魔術師の名に傷がつくのじゃ」
 
  比較的乗り気な彼らの姿に、イブルは一つ息を吐いた。  
  
 「よかった。大口叩きすぎて見放されたらどうしようかと」
 「お兄ちゃん、今その暴露は色々台無しだと思うわ」  
 「ベルはフィーさまといっしょです! がんばります!」
 
  小さな手を握り締め、決意表明をするベル。
  そして、全員が武器を握り、狼達を見据えた。
 
 「行くぞ、宝をとりに!」 


  ***   ***   ***   ***   *** 
 
 
  真っ先に切り込んで言ったのは、いつものようにトーリだった。
  狼のリーダーから少し離れた位置にいた雑魚狼に、
 突進した勢いを乗せレイピアで貫き通す。 
  まだ息のあるその狼をディーンのナイフが貫き、
 ベルは止めが刺されたのを確認して追撃の手を止めた。
 
 「いっぴきめ、おわりました!」
 
  一方、オーギュストは真面目な顔で詠唱のタイミングを計っていた。
  リーダーへの視界の認識を、他の狼が邪魔しているのだ。
  同様にフィアルもまた、いつものように前には出ずに、
 いつでも回復出来るように準備を始めている。 
  その彼らに攻撃が行かないように、イブルは武器を振るっていた。
  それ用の技を覚えてもいいかも? と少しだけ考える。
 
  二匹目も、流れ的にはほぼ同じだった。
  全体を左右する技がない以上、傷つきながら減らすしかない。
  まだイブルに小さな傷が出来ただけでそこまで終われたのは、
 彼らの技量なら僥倖といってもいい位だ。
  狼達のリーダーが力を出し惜しむかのように
 守りに入っていたおかげとも言える。
 
 「二匹目もおしまい! こっちは任せて!」
 
  トーリは残った雑魚狼と戯れるようにフェイントを仕掛ける。
  そこで、リーダーも動いた。
  巨大な狼はイブルの頭の上を飛び越え、
 後方のフィアルの首を噛み切ろうとする。  
  しかし、彼女が咄嗟に手にした剣で殴りつけると、
 狼達のリーダーは彼女の肩を切り裂いて風のように距離を取る。
  兄が割り込んでくれた間を利用して自分を癒そうとした彼女は
 しかし、くらりとよろめき膝をついた。
  傷口からは決して少なくない量の血が流れ出している。
  かなりの重症だ。  
 
 「フィー!」
 「だい、じょうぶ!」
 
  それでも彼女は懸命に、強気な姿勢を崩さない。
  人前で泣き言を言うなど、自分自身が認められない!
 
  そんな彼女の脇を掠めるように、光の矢が巨大な狼を射抜いた。
   
 「ようやく、捉えたわい」
 
  その手に続けて生じる闇色の刃。
  本能的に危険だと察知したのか巨大な狼は唸るが、
 勿論イブルはその体で後衛達を遮っている。
  ならばと狼はまた彼の頭上を越えようと飛び上がる。
  そこで、イブルは武器を投げ捨てた。
  
 「二度同じ手を食うか!」
    
  上を行く狼の前足を、人間の腕のように引く。
  その結果、狼の飛び上がった力すらも利用して、
 巨体は回転し地に叩きつけられた。
  完全にひっくり返ってすぐには動けない狼に、
 ディーンとベルが駆け寄り、その心臓をめがけてナイフを振り下ろす。    
  その瞬間、狼は吼えた。
  その恐ろしさに思わずベルの動きが止まり、
 構わず攻撃したディーンを振り回した爪が襲う。
  ナイフを手放し後ずさるディーンの前で小山のような狼が立ち上がる。
  そして彼は、傷ついてなお力強くイブル達を睨みつけながら、
 跳躍し森の木々の奥へと姿を消した。



************************************



  扉の開く音に、夕の支度を始めていた親父は顔を上げた。 
  今回のそれは早々と訪れた常連客で、彼の注文を用意しつつ、
 また次の来訪者を待つ。
  そんな事を今日一日で何度繰り返しただろうか。
 
 「落ち着きないわねぇ。本当の親みたいよ?」

  と娘に笑われるが、やはりどうしても気には掛かるのだ。

 (ま、昨日今日でそれを求めるのもおかしな話だとは思うが、
  あいつらはサラちゃん達と比べると纏まりがないからなあ) 
 
  イブルが引率役としてあれこれ考えてはいるようだが、
 そんな事よりも今はとにかく一緒に何かをさせた方がいい。
  結局は経験を積み重ねて行く事で
 冒険者は一人前になっていくのだから。
  そう割り切ったつもりでも、物音の度に親父は顔を上げる。   
  この宿の冒険者達は皆、彼の子供のようなもの。
  ならば、一番幼い子供達を、心配しない訳がない。

 (自分もこんな気持ちを『オヤジ』にさせてたのかねぇ)

  と元冒険者な彼は先代との思い出に柄にもなく浸る。
  そして、無意識にだったが具材が先代の得意料理になっていた
 今日のスープの鍋をかき回し一口飲んで苦笑いを浮かべた。
 
 「何年やっても、あの味には敵わないな」
  
  その時。
  
 『きゃー、これが見たかったのよぉ!』
 
 と、外の掃除を任せていた娘の明るい声が奥まで飛び込んできた。
  ミーハーな彼女は、ある意味今回の編成の首謀者でもあるから、
 その興奮した声に、無事に帰ってきたんだな、と気付く。
  焦がしてはいけないものをどかして表へと出てみれば、
 六人は少しくたびれた様子ながらも五体満足で帰ってきていた。    
      
 「おかえり。宝は見つかったかい?」
 「ああ」
 
  イブルは行きに親父が渡した物とよく似た袋を掲げた。
 
 「ちゃんと、あったよ」
 「そうかそうか。ま、中でゆっくり聞くとしようか」 

  イブルの力強い頷きに内心頬を緩めながら、
 親父は何食わぬ顔で調理へと戻る。
  今日も美味いものを喰わせてやらねばなるまい。

  彼らもまた、新しく出来た親父の宝物なのだから。 


************************************

シナリオ終了後
依頼料:500sp
売却:みかん、薬草×3、きらきらした石×2 計180sp
合計所持金:2280sp
クーポン:オヤジの宝の地図

こんばんは、環菜です。
思ったより早く次が出来ました。
実は、次のシナリオがなかなか決まらなくて
何となくリクエストをツイッターで募ったら
一分も立たない内にこのシナリオに票が入りまして。
他のパーティではやった事あるけど、どんなかなってやってみたら
あまりに素敵で、確かにこれはいいなーと思いました。
宝の正体については、ぜひプレイして見てください!
凄く凄くいい作品で、書いててめちゃくちゃ楽しかったです!
基本プライベートのはちょっと心が及び腰になるのですが、
書く事を快く許してくださった春秋村道の駅様には本当に感謝です。
後、投票してくださったお二人もありがとうございました!

とりあえず今後は…どうしよう?
ベルちゃんに似合うスキル探しですかね?
可愛いけど、本来明るいのに何かと落ち込ませてしまうので…。
可愛くて明るいのがいいなーと悩みどころです。
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