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こちらはカードワースのリプレイっぽい書き物置き場です。
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蔓草の病・3
2015-10-17 Sat 22:14
  翌朝。
  今朝もまた村長手作りの豪華な朝食を頂いた一行は、
 リード爺さんに教わった薬草やキノコを収穫したり、
 蜂蜜採りを手伝った村人から聞いた難所を乗り越えたりしながら、
 とうとう魔物が住むという森の奥へとたどり着いた。  
 「このさきのやぶでうねうねしたものがうごいてます」
 
  ベルの言葉にイブル達は少し離れた位置で足を止めた。
  ひとまず動きの邪魔になりそうな荷物を下ろし、少し身を軽くする。
 
 「きっとそれが村長の言ってた吸血蔦よね。
  あの種はとにかくしぶといから、攻撃は集めたほうがいいわ」
 「こんな森の奥で、ねえ。獣の血なんて美味しいのかな?」
 「フィアルは可能なら回復する余裕を残しておいて欲しい。
  他の皆はなるべく同じ相手を狙おう」
 
  イブルの言葉に皆が頷き、トーリは持参した大松明を下ろし、
  3mほどもある丈夫な棒の先の松明部分に火をつける。
 
 「そっか。蔦が相手だもの、射程の長さの問題はあるわよね。
  これを使えば相手の攻撃の外から燃やせるわけか……なるほど」
 
  うちの村でも導入しようかと次期村長は真面目に検討し始めた。
  
 「まあ元々ある程度の備えはしてあったんじゃろう。
  こうも大量発生するのは珍しいとの事だしな」 
  
  やれやれしんどい、とオーギュストは腰を叩く。
  それでもここまで皆に遅れずついてきたのだからなかなかの健脚だ。 
 
  そんなこんなで準備を整え、じわじわと相手に近付くと、
 藪の中から蛇のように細長いものが飛び出してくる。   
  冒険者に巻きつこうと動くそれに対し、トーリは大松明を振り下ろした。 
  水気のある太い蔦は特に影響もなさそうだが、
 それを補強するように巻きついた細い蔦はあっさりと焼け切れてしまう。
  するとバランスが取れなくなるのか、太い蔦もすぐに動かなくなった。
  血を焦がすような嫌な匂いが辺りに立ち込める。
  
 「なるほど、こうやって使うのね」
 
  トーリは、昔武器屋の常連に教わった槍を振り回す要領で
 背よりも長い松明を扱い、藪の中の蔦を燃やしていく。
  続く味方の攻撃で早速藪一つ分が排除され、 
 このままいけるか、と皆が思った時だった。
 
 「がはっ」
 
  一番後ろにいたオーギュストが、急に前方へと飛んだ。
  いや、いつの間にか忍び寄っていた蔦に薙ぎ倒されたのだ。
   
 「こっちからも来たわ!」
   
  続けてフィーも攻撃された。
  安全と思い込んでいた方角からの不意打ちに、
 冒険者達の顔が険しくなる。
  先程切り落とした筈の蔦が、蛇のように鎌首を持ち上げたのだ。  
   
 「すまん、少し吸われたようじゃ」
 「血を吸うと再生し始めるのよ。
  だから厄介なの。確実に一つずつ落として!」
 「りぐはきせいしてるだけだから、
  とにかくほそいのをきっちゃうのです!」
 
  もはや安全圏などはない。  
  先程までは木の葉の影となり気付かなかったが、
 この一角にはびっしりと太い蔦が張られている。
 蜘蛛の巣のようなそれが敵なのか、ただの植物なのかも、
 こうなってははっきりと分からない。

 「大量発生してるっていっても程度があるだろっ!」
   
  首に巻きつこうとする蔦と格闘しながらイブルは叫ぶ。

  その後、どうにか吸血蔦を全滅させる事は出来たものの、
 気絶した者がいないのが幸いなほどの重傷に、
 全員が陥っていたのだった。
  

 
************************************

  

  それから三日後。
  どうにか無事に依頼を果たして帰還したイブル達は、
 【星の道標】で打ち上げをやっていた。
  今回は色々あったが、かなりの収入が入って来たのだ。
 
 「まあ、無事に倒せたならよかったじゃないか」
  
  新米の帰りが遅いとやきもきしながら待ち構えていた親父に、
 その理由である魔物を退治した件を語っていたイブルは
 親父の台詞に苦笑を浮かべた。
   
 「無事に魔物を倒してくれたから、って
  村長が薬を半額にしてくれたんだけどさ。
  実際には吸血蔦自体が薬の材料だったんだ。
  価値的には多分最低でも10万を下らないらしい。
  やけに親切な村長だとは思ったんだけど……そういう事とはね」
 
  ぴょこんとカウンターの下から顔を出したベルが口を挟む。
 
 「りぐはとてもいいおくすりになるのです。
  でも、そんなにおかねすごいのですか?」 

  ベルは蔓草、正しくはリグに薬効があるのは知っていたが、
 その薬が人間界でもてはやされているのは知らなかった。  
  ましてや10万spの価値など、分かる筈もない。
  ただ。
 
 「まあ、今のあの子にはショックだろうなぁ、その展開は」
 
  奥のテーブルでは、何事か誘っているディーンを無視し、
 燃え尽きた様子で安酒を煽っているトーリが近くの柱を叩いていた。
  あまりにも異様すぎて他の冒険者も近付かないその一角を見て、
 親父は自らの少ない髪の毛をかき回す。
 
 「しかし美味くない呑み方じゃのぉ。
  あんな風に呑んだんじゃ何も感じないだろうに」
 
  うっすらと顔を染めた老人は数本目の酒瓶を未だに離さない。
 
 「年寄りの冷や水とどっちがましかねえ」
 「五月蝿いわい! 若造!……でもないな、ハゲ!」 
 「何をぉ?!」
 
  脱線を始めた男達をどうどうと落ち着かせながら、
 フィアルは目を瞬かせた。
  椅子から腰を浮かばせ、カウンターに身を乗り出す。
  
 「ねえ、親父はもしかしてトーリの事何か知ってるの?」
 
  その言葉に親父は渋い顔をして見せた。
 
 「そりゃまあ、わりと近所だし噂には聞いとるよ。
  そもそもこっちはリューンにずっといたからな。
  けど、あの子が喋りたくなるまでは教えん」
 「べ、別に興味があって知りたいわけじゃないわよ。
  ただ、どうも様子がおかしい気がするから」
 
  親父のつれない台詞に、フィアルは視線を泳がせた。 

 「まあなあ。しかし今のお前達じゃろくな手助けは出来んよ。
  わしとしてもやれるのはちょっとした提案くらいだ」 
 「提案?」

  フィアルの言葉に、それ以上オヤジは答えず
 冷たい水の入ったコップを持って、トーリの元へ移動した。
  ディーンにカウンターに行くように指示し、
 自分はディーンの座っていた席に座る。
  その間も、トーリは顔を伏せたまま、ぼんやりと壁を見ていた。
  
 「トーリ」
 
  親父が呼びかけると、僅かに彼女の顔が上がる。
  日頃は大人びた横顔を見せる事の多い彼女だが、
 それはおそらくずっと気を張っていたからなのだろう。
  今は年相応の、迷子のように頼りない表情を浮かべている。
  
 「わしはお前さんと例の人の話は人伝だが聞いている」
 
  と言っても、旅先での事故でトーリの両親が命を落としたのを
 彼女が兄の修行先に手紙で伝えたら彼は先日帰らぬ人になっており、
 その妻だと言う女性が遺産相続に名乗りを上げた、程度だが。
   
 「ご両親の事も落ち着いていないのにこんな事になって
  本当にお兄さんの事はお気の毒だとも思うし、
  おくやみの言葉しかない」
 「私より……あの人の方が辛いんだとは思ってる。
  これから一人で子供を育てなきゃいけないし……でも……」
 「一応聞いとくが、その人は本当にお兄さんの奥さんなのかい?」
 「……これ、持ってきてくれたから」
 
  トーリは、懐から血に汚れたお守り袋を取り出した。
  この辺りではあまり見かけない不思議な模様が刺繍されている。

 「これは……花か?」 
 「うん、お父さんが故郷の東の島から持ち出したんだって。
  子供の頃に私が貰って……旅に出る兄上に預けたの」
 
  命より大事にする、などと言って笑った兄の姿を思い出す。
  ある意味本当になってしまったのだと、現実を思い知る。
 
 「ふむ、まあ、確かにお前さんも例の人も生きているんだ。
  お前さんに商才があるならともかく、そうじゃない以上
  今の資産を売って分けて欲しいと言うのには、わしも賛成だ」
 
  カウンターまで届かないような小声ながらも、
 はっきりした口調にトーリは傷ついたように口の端をゆがめた。
  そこで親父は、ほんの少し口元に笑みを浮かべる。
 
 「ただ、お前さんが思い出ある店を大事にしたい気持ちも分かる。
  その上で相談なんだが……相応のお金を貸すので、
  依頼がない日はうちでウエイトレスとして働いてみないかね?
  小額ではあるが給料と、食と住の方はこちらが出そう。
  誰もいない家で一人でいるのはそれなりに苦痛だろうし……。
  酔いがさめてからでいい。考えて見てくれないか?」

  親父はそのまま席を立ち、カウンターの奥へと戻る。
  一人残されたトーリは、オヤジの持って来た水のコップを
 暫くの間ぼんやりと眺めていた。

  やがて、彼女はそのコップを手に取った。
  冷たさを確かめるように、一口喉に運ぶと、
 急に立ち上がって、器をひっくり返し水を頭から被る。
  そうして、濡れた髪をかきあげて目に力を取り戻すと、
 彼女はゆっくりと親父の元へと足を運んだ。
  
 「親父さん、それ引き受けます」
 「……よし。じゃあ、まずは濡れたそこの掃除からだな」

  そんなおどけを交えた親父の言葉に、
 トーリは普段見せるものよりも穏やかに微笑んだ。  



************************************

シナリオ終了後
スラムの病
報酬:800sp
経費:シチュー、串焼き購入により3sp
合計所持金:2477sp
クーポン:エルトールの依頼◎

蔓草の病
報酬:500sp
収入:薬草調達85sp、蜂酒150sp、幸運のメダル450sp、リグの実300sp
入手アイテム:コカの葉2枚
合計所持金:3962sp
クーポン:蔓草の病◎

用語:紅し夜(紅し夜に踊りて(ほしみ様))


  こんばんは、環菜です。
  とりあえず最初に、多分読まれる事はないと思いますが、
 野澤様お帰りなさいませ!と、言いたいです。
  私等の文章では拙すぎるかもしれませんが書いてしまいました。
  スラムの病の原因がまさか分かる日が来るとは、
 と驚いたのは多分私だけじゃないんじゃないかなあ……。
  でもメインは新作の方です。相変わらずとても面白かったです!

  とりあえず前回爆弾落としたのでひとまず水をかけてみました。
  私の中で彼女は絵のイメージのせいか妙に不幸枠になっています。
  苦労人枠はイブルさんなんですけどねえ……。

  ちなみに、とりあえず満月っぽい描写を入れたら、
 ふと、それが周摩様のリプレイで出てた紅し夜のタイミングだと
 気付いたので急遽差し入れました。
  紅し夜って地域限定だっけ?とツイッターで呟いたら
 詳しい事を教えてくださったほしみ様、ありがとうございました。

  続きは、もうちょっと先にやりたいシナリオはあるけど、
  今すぐやりたいシナリオがまだ分からなくて困ってますが、
 なるべく早く出来るようがんばります。
  ほんの一時でも楽しんでもらえたら嬉しいので、
 よかったらまた読んでくださいませ。
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