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こちらはカードワースのリプレイっぽい書き物置き場です。
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ある日の小話・1
2015-12-04 Fri 22:16
  とある初夏の【星の道標】。

 「あの、セアルさん。ちょっとよろしいですか?」

  マリスは、すがる様な思いで演奏を終えた仲間へと声をかけた。

 「まあ、片づけをしながらでいいなら。どうしました?」
 「実は、孤児院で最近、腹痛を訴える子が増えているんです。
  まあ、それに関しては毎年の事ですし大体の見当はつくんですけど」

  ただ、薬の相場が最近値上がりしているらしい。
  孤児院で纏まった数を購入するにはかなり辛い金額だ。

 「あぁ、今は材料の薬草がとれないらしいんですよ。
  今年は……ほら、前に行ったアダンがあんな事になった上に、
  他の地方でも冬が長引いたそうで。
  その上にロスウェルのあの混乱ですから……こればかりは、ね。
  この辺でも探せばとれますが、それでは数がいまいちですし」

  言われてみれば納得できる理由に、マリスは溜息をつく。
  顔の横で纏められた青い髪が、さらりと頬に触れた。

 「そうですか……理解は出来ますけど、困りましたね。  
  どうにか安くお薬を手に入れる手段がないかしら?」

  困ったように首を傾げるマリスに、
 セアルは緑の目を細めて皮肉げに笑った。

 「神様とやらの奇跡は起こりませんか?」

  彼の教会嫌いは根深く、こういった言動は初めてではない。
  それに元々この仲間が毒舌家なのも理解しているから、
 マリスも少し笑って答えられる。

 「その前に人事を尽くさなければ。
  神の慈悲を必要としているのは我々だけではないのですから」
 「やれやれ、相変わらずのおきれいな模範解答ですね」

  心底どうでもよさそうに返事を返して
 手入れの終わった楽器を仕舞い込んだセアルは、
 立ち上がって伸びをするとマリスへと視線を向けた。

 「……そうですねえ、孤児院に庭はありますか?
  花壇のような子供の踏まない場所であればなおいいです」
 「ええ、まあ。それ程規模は大きくないですし、
  お野菜を植えてる部分もありますけど……それが何か?」
 「ふむ……少し待ってもらえますか?」

  そう言って部屋に戻った彼。
  戻って来た時、セアルの手には小袋が握られていた。

 「それは?」
 「種ですよ。例の薬草の、ね。
  これ自体にも薬効があるので、一応確保してあるんです」

  炒れば案外美味しいですよ、と本当か嘘か分からない事を言う。 
  そして、そのうちの約半分を別の袋へと移した。

 「じゃ、これを孤児院で育ててもらいましょうか。
  比較的早く成長するので、出来た薬草の七割は頂きます。
  その代わり、調剤価格は安めにしてあげますよ。
  他の材料の事を考えれば費用的にはかなり抑えられるかと」

  そしてもう一つ、取り出したのは、薬の入った袋。  

 「で……これが私の作った例の薬です。
  さほど数はありませんが、症状が酷い子供だけでも
  飲ませてあげれば、多少は緩和するかと」 

  種と薬を一纏めにしてマリスへと差し出すセアルの手を取り、
 マリスは感極まったように潤んだ視線を向けた。    

 「ああ、神よ感謝します! 素晴らしいです、セアルさん!
  私、急いでこれを孤児院に届けてきますね」
  
  そう言うとマリスは、セアルが止める声を上げるより先に
 宿の外へと飛び出してしまう。
  後に残されたセアルは、苛立たしげに頭を掻いた。

 「……まだ、育て方を説明してないんですけど」
  
  今のまま普通に植えれば、セアルが大損するだけだ。
  親切のつもりはなく、こちらもあちらもwin-winであるよう
 計算して渡しただけに、彼女を放っておく訳にも行かない。  

 「全く、猪突猛進な女性はサラさんだけにしてほしいですよ。
  大体なんで私の発案で神様の方が感謝されるんでしょうね。
  本当にずるくないですか?」

  そんな文句を言いながら、セアルもいやいや宿を出たのだった。



************************************



  新緑眩しいとある午後。
  サラは相談があるから、と宿の裏手に呼び出されていた。
  相手は珍しい事にフィリオンだ。
  彼は普段無口だし何事にもしっかりしていてそつがない。
  だからこそ、あまり困っているような印象はないのだが……
 その内容を聞けば、サラもなるほどと思わず頷いてしまった。

 「要するに、昔見た魔法剣の再現が難しいって事ね」
 「そういう事になる。雷はどうにかなったが……風がな。
  遠距離を攻撃していたのは覚えているのだが」
 「うーん……出来る限りの協力はするけど、
  私、あまり優秀じゃないから期待はほどほどにね。
  こういうのってまずは何から調べるべきかな……」
 
  専門分野ではないが、彼女とて一応は魔術師である。
  指を口元に当て、うーんと首を傾げると、しばし黙り込む。
  やがて彼女は何事か閃いたようで部屋から荷物袋を取ってくると、
 その中から魔力感知の力の宿るワンドを取り出した。
  
 「うん、まずは基本を知るべきだと思う。
  そもそもフィリオンはどういう風に技を使ってるの?
  そこからお願いしていい?」
 「ああ」    
   
  ワンドを使って見学するサラの前で、何かが切り替わる。
  それは、言うなれば戦いの気配、かもしれない。

 「…っ!」

  まずは炎を纏う剣で、空を真一文字に薙ぐ。
  それが返された時には、剣の属性はもう冷気へと切り替わり、
 風にはらはらと散りながら、見えない何かを切り裂いた。
  と、その場に直立したまま、フィリオンは威力のある突きを放つ。 
  見覚えのない技だが、彼の体内で雷が何かを強化したのは分かった。
  最後に、しばし集中した彼が剣を正眼に構え、振るう。
  すると光る鳥が彼の剣に宿って、その軌跡に輝く線を残した。

 (やっぱりフィリオンは凄いわね……)
 
  サラはいつの間にか握りしめていた掌を解いた。
  ハーロの本能のままに動く荒々しい動きとは違い、
 きちんと型に添ったそれは剣舞としても見応えのある動きで、
 思わず緊張してしまったのだ。
 
 「……何か、分かったか?」  
 「んー……ちょっと凄すぎて、びっくりした方が大きいかな」

  サラの頼りない発言に、フィリオンは小さく笑った。  
   
 「ただ、少し気になる事もあるのよね。
  ……よかったら風の方も試して見てくれる?」
 
  そう言われ、手近な木に紐で結んだ枝へと彼は剣を振るう。

 「ごめん、もう一回お願い」

  そんな言葉が何度か続く。
  枝までの距離は、約5mといった所か。
  かつて見た技はその倍は飛んでいた。
  だから、彼が技を使えているならそれで落ちる筈なのだ。
  しかし枝は何事もなかったように、ただぶらぶらと揺れているだけ。
  
 「やっぱり」

  ワンドの力で剣に宿る魔力の動きを観察していたサラは
 ようやく見極められた現象にほっとしながら、額の汗をぬぐう。
  集中していたのはフィリオンだけではないのだ。
 
 「魔力自体は途中まで宿ってる。でも、その放出が邪魔されてる」
 
  それは、昔サラが父から聞かされた現象と同じだ。
  

 「フィリオンは、カード理論って知ってる?」

  彼は無言で首を振る。
  それは、故郷では学のある方だった彼も知らない単語だった。

 「そっか。まあ、失敗の言い訳って話もあるしそういう物かも?
  父さんは本当だって言ってたけどね。
  えっと、人間……まあ、エルフでもドワーフでもいいんだけど、
  とにかく存在が一度に使える切り札の枚数は決まってるって理論なの」

  サラ曰く、人は研鑽を積む事で技や術式を習得する事ができる。
  しかし、いつでも使いたい技が使えるかと聞かれれば答えはNOだ。
  己の技量以上の技は当然失敗してしまう事もあるし、
  あまりに沢山の事を一度にこなそうとしても、
 どういう訳かうまくはこなせないらしい。

 「言ってしまえば人としての限界?があるのよね。
  つまり、今のフィリオンは5枚のカードしかもてないのに
  6枚目を引こうとしているのよ。
  だから限界が来ているんだと思う」
 「……解決策は?」
 「カードの例えで行けば先に1枚捨てる事、かしらね。
  意図的にその日は使わないって意識していれば、多分、変わる。
  私自身体感した事はないから、はっきりとした自信はないけど……」

  自信なさげに言うサラに、フィリオンは一つ頷いた。

 「分かった、試してみる」

  ――翌日、剣から放たれた風の塊は紐を引きちぎり枝を落とした。
 ひとまず結果が出た事に、魔術師と魔法戦士は安堵の息をつく。

 「しかし……」
 「どうしたの?」
 「私の技は複数相手には辛いな」
 「まぁ……今更じゃない? 足りない所は皆で補っていきましょ」
 「……助かる」

  

************************************



 「だからさ、もうちょっとオレの事大人としてさ」(がつがつ)
 「んー」(ざくざく)
 「皆さ、大人として見てほしいよ、そろそろ」(もぐもぐ)
 「へー」(さくさく)
 「あと2ヶ月だよ、夏になったら15」(ごくごく)
 「もうか」(カチャカチャ)
 「だよ、なのに皆、未だに子供扱いするんだよなあ」(ドンっ)
 「グラス割るなよ」(ジャー)
 「割らないよ! リック兄ちゃんも子供扱いしてない?!」(ガタっ)
 「ま、これでも食べてろ」(トン)
 「え? わーい、いっただきまーす!」(ぱくり)
 (ま、食欲に負けてるようじゃまだまだ子供だろ)

その後。

 「……なんで全員で食ってるんだよ」
 「だっていい匂いがしたんだもの。あ、リック、おかわり!」
 「やらん、これは俺のだ!」



************************************

こんばんは、環菜です。
今回の更新はお久しぶりになります、サラさん達の閑話です。
えと、実は二十三話後という設定となっております。
なので既に【星の道標】に戻っておりますが、本編は旅の途中です。
幾つか買い物もして帰ってるはずですが、まだやれてません。
決められないです、優柔不断…。
なので、今回フィリオンが覚えた技もそちらで纏めて紹介します。
こっちはツイッターの友達の自作です。専用スキル~。
肝心の中身は、最近友達に基本222だけど彼らは本当に仲いいの?と
問われたので私なりの解答に普段は薄そうな二人を書いてみました。
書いて見てどれも自分なりに好きだけど最後のが特に気に入ってます。
きっと美味しそうなんだろうなぁ。

それにしても今年は本当にカードワースが凄かったですね。
シナリオもかなりの大作が多かったし、色んな方が戻ってきたし、
イベントも100kbとか、ハロウィンカーニバルとか、祭りとか。
あ、環菜も2作目をハロウィンカーニバルに投稿しました。
タイトルは祭りのあとに、といいます。
ハロウィンの翌日にありそうな小さな物語をいくつか組んでみました。
ややお人よしに傾きますし実入りは少ないですが、
ゴブ洞よりも簡単だと思うのでよければ遊んで見てくださいませ。
なお、1作目も更新されております。
といってもあまりたいしたつけたしではありませんが、
サラさんだといなくなってしまうかもしれないですね。
蜂蜜酒は飲ませないようにしないと。

更にご報告です。先月、周摩さまに全員の絵を頂きました!
それでテンション上がって報告するのも忘れ宿のコピー用意し
全員10レベルまで上げちゃったり。
楽しかった……めちゃ、楽しかった……!!
なので、こちらも今後はこの素敵過ぎる絵の方で動かそうと思います。
ScreenShot_20151204_212736846.png

とりあえずこれが今月最後にはならないようにがんばります。
喪中なので年賀は大人しくなっちゃいますし。
各自のキャラ紹介もちゃんと作ろうかなって考えてます。
クーポンマガジンで色々つけちゃったので、その紹介代わりに。
まだまだ今年もカードワース充しちゃいますよー!
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