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Cupidしませんか? 語り:マリス
2010-04-09 Fri 02:09
シナリオ名  :Cupidしませんか?
製作者    :蒼き砦様
入手場所   :ベクター


 ゴブリン退治をしてから1週間がたちました。
 あれから私達は、忙しいながらも平穏に暮らしています。
 前回のゴブリン退治は上手くいきましたが、
(きっと主のお導きがあったからですね。感謝します)
 親父さん曰く、毛も生えてない駆け出しには
 今張られている張り紙は難易度が高すぎるそうです。
 自分に出来る範囲でやれる事を見つけるのが
 まず私達が学ぶべき事なのだ、と。
 また、私はまだこういう荒事に慣れていませんが、
 冒険者になると決めた以上そうは言ってられません。
 いきなり武器を振るうことは出来なくても
 自分の身は自分で守れるよう特訓したりもしています。
 そんなある日の事です。
 私達が親父さんに呼び出されたのは。

************************************

『──僕は憧れの人にどうしても想いを届けたい。
   彼女の為に特別な料理を作りたい。
   でも材料のある森には魔物がいるから僕1人で行く勇気が無い。
   そこでどうか僕の気持ちを伝える助けとして、
   冒険者の方に材料となる食材を集めて欲しいのです。
   もちろん報酬はお支払いします!
   どうかよろしくお願いします。
   こんな事冒険者の方にしか頼めません!

              オーレスキー・スーヴェモルド 』


「今回の依頼って素敵ですよねぇ」

 思い返しただけでついうっとりとなってしまいます。

「マリスってば…何がどうしたの?」

 サラさんが私の顔を覗き込みました。

「サラさんはこれを呼んで何も感じませんか?」
「…もしかして何か裏でもあるの?」

 本気で分かってなさそうです。

「依頼人さんは私達より年下の男の子でしたよね?
 その子が好きな女の子の為に勇気を出したんですよ。
 とても心温まるお話じゃないですか!」
「そんなものなの?」
「そうですよ♪」
「ま、姉ちゃんから見れば年下でもオレより年上だったけどね。
 オレなら自分で集めに行くなぁ。食材くらい」
「ハーロ君。そんな事に茶々を入れないの。
 一般人にオークなんかの相手が出来るわけないでしょ?」

 めっ、と叱ってしまいます。

「……話は終わったか?」
「あ、ごめんごめん」

 見張りのフィリオン様に叱られてしまいました。
 なんだかまともに顔を見れません。恥ずかしいです。
 そういえば今は森の中で食材探しの真っ最中だったんですよね。
 いつの間にか話し込んでしまっていたようです。
 サラさんが肩をすくめて応え、私も作業に戻ります。
 それから約一時間、私達の地道な作業は続きました。


************************************

 森への道も二度目となると流石に疲れてしまったようです。
 とはいえ、そう感じているのは私だけかもしれません。
 森を歩くのには海で泳ぐのとはまた違う疲れがあるものですね。
 リューンへの移動中は街道沿いでしたし、
 ゴブリンの洞窟へは彼らや農夫のつけた道があったので
 そこまで苦労はしなかったのです。
 けれど、ここは違います。
 猪の掘った穴を避けつつ、下草に足をとられながら歩く…
 申し訳程度の林しか持たない小さな島で生まれ育った私には
 森歩きはまだまだ慣れない事ばかり。
 ときおり襲ってくるウィードやオークなどのモンスターもいます。
 それでも一度目は興奮もあって疲れなど感じなかったのですが…。

「大丈夫か?マリス」

 いつの間にか少し皆さんから遅れていたようです。
 気がつくと目の前に水筒が差し出されていました。

「ありがとうございます。フィリオン様」

 彼は何も言わずに私の前を歩いてくれます。
 後続が歩きやすいように、足で草を掻き分けながら。

(フィリオン様は優しいですね)

 それとない優しさが私の疲れを癒してくれます。

「もう一回森に入る事になるとはねー」

 前を行くサラさんの少し疲れた声が耳に届きます。
 先に断っておきますが、私達は全ての食材を見つけましたし、
 料理はとても美味しそうなものが作られました。
 けれど、依頼主さんは告白するつもりだった相手の喜んだ顔を見て
 急に断られるのが怖くなったらしく
 お茶を共にしただけで帰ってきてしまったのです。
 当然告白など出来ておりません。
 再度チャンスを、報酬追加します!ということで
 今度はデザートの材料探しです。

「まあ、必要なものは少ないな」

 貰ったメモをひらひらさせながらリックさんが言えば

「この森は豊かでしたから、つい力が入ってしまいました」

 そうセアルさんが返します。二人とも実に満足そうです。

「料理と森歩きが得意な奴と薬師さんか…凄く助かるけど…」

 ほめてるのか呆れてるのか、両方の色を持つサラさんの声。

「食用葉っぱに木の実にりんごはあるから…
 あとは森に住んでる人にお酒を受け取り、だな」
「その程度の事で追加報酬。うまい話はあるものですね」

 私とサラさんが無駄口を叩いている間、妙に無口だったお二人。
 まさか、森にある食材や薬草をかたっぱしから集めていたなんて。
 確かに森で見つけたものは好きにしていいといわれましたが…

「森にあるものはただだしな。節約料理は慣れてる。貧乏なめんな」
「薬草のほうで誰にでも使えるのはコカの葉だけですけどね。
 あとはそれなりに処置する必要があります。
 こちらで管理するのであまり触らないでくださいね」
「そういやコカってどこの森でも生えてるけど麻薬の原料だよな?」
「いえ…依存性や幻覚症状が出る事もありますが麻薬というほどでは。
 この地域でのコカの葉というのはとても役に立つ薬草ですよ。
 傷を治すという事で知られるヒヨスほどではありませんが、
 失った体力も戻りますし、解毒作用もあります。
 ただ一度にたくさん使うと危険で…」

 すっかり意気投合しているお二人。仲良き事は美しいで

「きゃぁ!」

 ぼんやりと話を聞きながら進んでいったのが悪かったでしょうか?
 爪先に何かが引っかかった弱い感触。
 とっさに前の人にしがみつき事なきを得ましたが…。

「ご、ごめんなさい」

 フィリオン様の背中でした、別の意味で赤面です。
 何かに気づいたのでしょうか?ハーロ君がよってきました。

「マリス姉ちゃんが引っかかったのって…これ?」
「へぇ、落ちてた割には綺麗な品物ね」
「…ペンダント…ですよね?これ」

 私の足を捕らえたのは銀細工のペンダント。
 それは木漏れ日の光を受けてきらきらと輝いていました。


************************************


 ぽんっと肩を叩かれました。
 無警戒だった私は、つい飛び上がってしまいます。
 振り返るとサラさんが心配そうな顔で私を見つめていました。

「よかったの?あのペンダントあげちゃって」

 拾ったペンダントは、近隣の誰のものでもなさそうだったので、
 デザートができても勇気を出せずにいる依頼人さんに差し上げました。
 そして、そのプレゼントの効果もあったのか、
 依頼人さんの気持ちは相手の方に受け入れられたのです。
 私達は約束よりも多い銀貨を受け取って
 ホクホク顔で《星の道標》へと戻ってきたのですが…。

「もちろんですけど…何か?」
「あれからずっと考え事してるよね?欲しかったのに無理したんじゃ…」
「ああ。別に後悔してるわけじゃないんです。ただ…」
「言いたくないなら聞かないから。何かあったならいってね」

 気を遣ったのか、サラさんはそれだけ言って部屋へと戻っていきます。
 彼女も多分必死です。少しでもリーダーらしくなろう、と。
 ……別にペンダントの事などで悩んでたわけではありません。
 ただ……ここ最近、私なりの努力を続けてきたつもりなのですが、
 それは今回の依頼人さんやサラさんには及ばない気がします。
 そして、依頼人さん達が本当に幸せそうだったからでしょうか?
 私の中にも小さな勇気がわいてきました。
 カウンターで一人お酒を飲んでいるフィリオン様の隣に座ります。
 ちらっと横目で確認しましたが…多分嫌がられてはいない…はず。

「ねえ、フィリオン様」
「…いいかげん様はよせ」

 いつもの、どこか作ったようなぶっきらぼうな口調。

「ダメです、命の恩人ですから」
「……好きにしろ」
「フィリオン様はもしも女の子が手料理と共に告白したら嬉しいですか?」
「……別に」

 なけなしの勇気は一言で返されました。
 そのまま彼も自室へと戻っていきます。
 残されたのは私だけ。やっぱり無理でした。
 気を利かせたのか、親父さんがお酒を出してくれます。
 彼に振られた、とでも思われたのでしょうか?
 そういうつもりではなかったのですが…。
 やはり一筋縄ではいかないようです。

(ねえ、フィリオン様…
 私はどうすれば貴方に幸せを差し上げられますか?)

 声なき声を呑み込む様に私はグラスを呷ります。
 明日からの冒険が、少しでもそれに近づけることを願って。

************************************

シナリオ名 :Cupidしませんか?
製作者 :蒼き砦様
入手場所 :ベクター

依頼料:+900SP
合計所持金:2400SP
入手アイテム:コカの葉6枚→荷物袋
クーポン:Cupidしませんか?(+1)

というわけで二つ目です。
恋するお嬢さんの視点から、別の恋の物語を眺めて見ました。
探索重視だけどお話もしっかりとあるところが好きです。
手に入る金額も美味しいですしね♪
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