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冷え切った部屋(前編) 語り:ハーロ
2010-04-13 Tue 01:37
シナリオ名   :冷え切った部屋
製作者     :サークル毒餃子(R、white-wings、釈迦釈迦チキン、ハル、ピノ)の皆様
入手場所    :ベクター


 うん。そうだよ。確かに俺がテンハーロだけど…?
 歌で聞いた?俺に憧れるって…そんな大層なものじゃないよ。
 冒険者になりたい?んー、それはやめておいた方がいい。
 自分で言うのもなんだけど楽しい事ばかりじゃないからね…。
 ましてや君は子供だしなぁ。甘えられるうちは甘えておいた方が。 
 え?じゃあ俺はいつ冒険者になったか、って?
 あー、確かに俺は子供の頃から冒険してるけど。
 いつ、冒険者になったか、か。親が死んだ時かな…いや、あれかなぁ。
 あれ?いやいや、聞いても楽しい話じゃないから…
 あ、ほら。そこで君を呼んでるの、君のお母さんじゃない?

 そういいながら、青年は思い出す。
 自分の転機になった、ある依頼の事を。


++++++++++++++++++++++++++++++++++++


「なんて、こと……」

 サラ姉ちゃんの声が、小さく震えてる。
 この結果を予想していなかったとは言わないけれど…
 神様、こんなのってあんまりだよ。
 壁にランプがたまにあるだけの暗い暗い下水道。
 そこ独特の匂いに混じってる吐き気を感じさせる…腐った匂い。
 オレ達が探していた人はそんな匂いを漂わせて汚い地面に横たわっていた。
 体のあちこちを齧られた、あまりにも惨い姿で。


************************************


「ごめん、皆。私、勝手に仕事をうけちゃった」

 朝食中を襲ったサラ姉ちゃんの爆弾発言。

「サラちゃん、困るよ。そういう事をされると」

 スープのお代わりをつぎながら親父が渋い顔になる。
 冒険者達のご飯や宿代をつけにされる事が多いこの酒場では、
 冒険者を紹介して仲介料を取る事で経営が成り立ってる、らしい。

「ごめんなさい、おじさま。でも、本当に困ってたみたいで…つい」

 なんでも夜更かしして酒場で本を読んでいたサラ姉ちゃんに、
 裕福そうだが浮かない顔の紳士が秘密裏に頼んできた依頼だそうだ。
 既に就寝済みの親父達を起こすまでもない…と思ったらしい。

「まったく…お人よしな人ですねぇ」

 セアルの言葉に他の皆も頷く。

「そんないいものじゃないわよ、報酬もらうんだし。
 それに、きっちり値上げの交渉だってやったしね」

 いや、それくらい冒険者なら当たり前だって。
 俺がやってもめったに成功しないけどさ。
 子供だと見くびられるし…正直そんなに頭よくないしなぁ。 

「で、一人でやるのか?」
「う、それなんだけど…よかったら皆も来て貰えない?
 …一人でもやれなくはないと思うから悪いんだけど…」
「何か問題でもあるんですか?」

 マリス姉ちゃんの問いかけ。
 サラ姉ちゃんの頬が赤くなる。どうしたんだ?

「…道を聞いたら、色々と分かって。
 歩くのに勇気がいる場所っぽいのよねぇ…」

 そういって懐から取り出したメモを机の真ん中に広げた。

依頼主:ダン(それ以外は言えない、とのこと)
探し人の名前:メアリー
年齢:38
失踪時期:3週間前
仕事先:西の花通り

「なるほど。西の花通り、ですか」
「確かに女の子が一人歩きする場所じゃないな」
「でもこれは…どう思います?」
「ま、お前さんに任すよ。こういうのも経験だろう」
「了解。…あまり気はすすみませんけどね」

 なんか二人で頷きあってるセアルと親父。ずるい。

「なんだよ、二人して。分かるように説明しろよ」
「いや。ハーロ…貴方にはまだ早いですから…」
「また子ども扱いかよ、もうすぐ14だぞ」
「この酒場の通例では15が成人ですから、まだ随分とありますね」
「あのー…」

 セアルの言葉を遮ったのはマリス姉ちゃん。
 先生に対する生徒みたいに小さく手を上げている。 

「ごめんなさい。私も分からないんですが…」  

 その言葉に毒気を抜かれたのか、セアルが一つ息を吐いた。

「…まあ。他国の人が地名で判断は無理がありますか。
いいでしょう。お教えします。ここは、ね」

 やけにもったいぶった仕草でメモを指差す。 

「リューンで1、2を争う色街。風俗店の溜まり場なんですよ」

************************************

 そこは二階建ての、やけに立派な建物だった。

「まさか不法侵入する羽目になるとはね」
「中で倒れてたら困るだろ。人命救助のためって事で…よし、開いた」

 そういってリック兄ちゃんが玄関の鍵をこじ開けた。
 結局、メアリーさんの勤め先で判ったことは殆どなかった。
 得られたのは最近誰かにつけまとわれていた事と、彼女の住所の場所。

「ストーカーねぇ…依頼人ではないんですか?」
「それは違うわね。あの人はそんな事するような人じゃないわ」

 根拠はないらしいけど、サラ姉ちゃんは否定する。
 でも、そうなるとあとはこのメアリーさんの自宅を調べるしかない。
 中から漂ってくる不快な匂いに顔を顰めながら扉を潜る。

「…寒いね」

 冷え切った部屋には人が生活している気配が全くない。

「この匂い…なんでしょう。気持ち悪いです…」
「埃も凄いわね。一体何日掃除してないのかしら」

 埃で足跡を作りながらも各部屋を皆で調べて回る。
 キッチンでは特に生ごみが酷い有様になっていた。
 嫌な匂いの正体に吐きそうになるのを、無理に飲み込む。
 次第に、皆無口になってくる。
 オレの頭にも最悪な想像が浮かんでくる。
 最後に調べたのは二階の一室。
 そこにもメアリーさんはいなかった。
 誰かがふぅっと息をつく。
 張り詰めていた空気が少し緩んだ気がする。

「メアリーさん、どこかへ旅行にでも行かれたんでしょうか?」
「もしくは入院か…急に帰れなくなったのは間違いなさそうね」
「そういえば…家は立派なのに貴金属を全く見かけなかったな」
「もしかして、夜逃げ?」

 手がかりなしになったのに、オレは妙にほっとしていた。
 家の雰囲気のあまりの気味悪さに多少呑まれていたみたいだ。

「…いえ、そういう訳でもなさそうです」

 セアルの、めったに聞かない硬い声。
 振り返ってみると、セアルはゴミ箱の前で何かを読んでいた。
 無言で手渡される真っ黒な封筒。宛名や住所などは書かれていない。

『 ―メアリー、俺はお前を知っているぞ。

  お前の本性を知っているぞ。
  
  お前の思い人を知っているぞ。』

 そんな言葉から始まる悪意のある文章の羅列。
 歪んだ字が彼女を蔑み、嘲笑い、貶める。

「脅迫状、ですね。これは」

『 明後日、教会の鐘が三度鳴る時、
  お前は金を持ってくる。
  
  孤児院の向かいにある、
  下水の放流口へ。

  さもなければ、愛する男は全てを失う。

  …よく、考えろ。』 


続く
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