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冒険者達の休日(前編)
2010-04-19 Mon 04:12
「3ヶ月ぶりだね。二人とも。
 今日はちょっと聞いてほしい事があってさ」

 仔細は省かれているものの、語られてるのは
 ついこの間の後味の悪い依頼。
「二人ならどうしたと思う?あっさり切り替えってついた?
 オレには…冒険者って難しいかな?」

 久々の陽光がハーロの頭上から降り注ぐ。
 ここはリューンの共同墓地。
 その中でも特に貧しい者の為の一角。
 旅の途中で倒れた冒険者達のための墓。

「まあ、そんな事いってても、他に稼ぐあてはなし。
 いつか大金稼いでもっと立派な墓立ててやるからさ。
 …いつになるかは、まあ分からないけど」

 ちゃんとした場所にちゃんとした墓を立てるには、
 銀貨で10000枚は最低でも覚悟しなければならない。
 維持費まで考えれば更にだろう。
 一介の冒険者に簡単に稼げる金額ではない。
 それでも、ハーロに諦める気持ちはなかった。

「新しく仲間もできたし…安心して見ててくれよな。
 オレは簡単にはそっちに行かないからさ」 

 二つ並んだ墓標を前に、祈りの言葉を唱える。
 最初はたどたどしかったそれも長く繰り返されてる内に
 そらで言えるようになってしまった。
 
「じゃ、また来るよ。父さん、母さん」

 そういって、彼は墓地を後にする。
 時折吹く冷たい風に、上着をはためかされながら。
 数日雪景色が続いたリューンは今日もやっぱり肌寒い。
 でも、久々の晴れにいつもより騒がしい気がする。 
 宿に篭り気味の日々が続いた【星の道標】の冒険者達にとっても
 今日はようやく訪れた休日だった。


************************************


「今日はよろしくお願いします。でも本当にいいんですか?
 この孤児院は貧乏なものでろくにお金も払えませんが…」

 申し訳なさそうに語りかける老神父。
 ここは宿に一番近い教会に併設された孤児院だ。
 仕事がなく、宿にいる間はここでのミサに通うのだが、
 マリスは自然とこの孤児院の手伝いもするようになっていた。
 が、今日この場にいるのは彼女だけではない。

「気にしないでください。院長先生。
 おじ様にも手伝ってこいって言われてますから」

 エプロンをつけたサラはそういって小さく会釈する。
 この連日の寒さのせいで、子供達の数人が風邪で倒れた。
 ろくな薬もない貧乏な孤児院であるがゆえに、
 これ以上患者を増やさぬよう別室でその子らは養生するのだが、
 付き添いなどでどうしても人手不足になる。
 仕方なく、冒険者の宿に張り紙に来た院長先生だが、
 よく手伝いにくるマリスはともかくとして
 格安の依頼料では飛びつくものも居ようはずがない。
 そこで、親父が目をつけたのがサラだった。
 元々困っている人を見逃せる彼女ではなく、
 お休み返上でこれをあっさりと承諾。
 こうして、宿代1日分のささやかな依頼は幕を開けたのだった。


(困ったなー。どうすればいいんだろ…?)

 マリスは孤児院でも人気者らしく、すぐに皆がよってくる。
 それに対し、サラへは物珍しげな視線。 
 どう接していいか分からない。
 頼まれたからとりあえず引き受けては見たものの、
 子供というものの騒がしさをサラは今日初めて知った。
 昼夕の食事の準備と小さな子がきちんと昼寝するように、
 後は少し大きな子供の勉強の面倒。
 言葉にすると簡単そうだが、まずどう打ち解ければいいのか…。 

「おねえちゃん、おねえちゃん」

 ふいに突撃してきた女の子にスカートの裾を引っ張られた。
 人見知りしないのか、満面の笑みを浮かべている。

「どうしたの?」
「あそぼ~♪」
「えっと…何をして?」

 戸惑いが顔に出るのを抑えながら、サラは微笑を浮かべる。
 が、元々が一人っ子であり、親類に幼子も居ない。
 内心パニックを起こしそうになっていたが、
 子供はそんなサラを気にも留めない。

「だっこしてー!」  

 そういって抱きついてきた。
 幼い頃の思い出を頼りにとりあえず抱っこしてみる。

(わ、暖かい…でも意外と重たい)

 とても長くは抱えていられない。
 すぐに下ろされて泣きそうな顔になる女の子。

「ご、ごめんなさい。お願い、泣かないで」

 と、後ろから伸びてきた手が彼女を軽々と抱き上げた。
 軽くゆすられて、泣きそうな顔が愛らしい笑顔になる。

「マリス。助かったわ。…でもよく軽々と抱けるわね」
「コツがあるんですよ。長い時間抱いておくには」 
 
 ささやかな会話を交わす間にも周囲は戦場だった。

「とっちゃだめ!それあたしのだもん」
「ひぇ、ひゅぇ、うわぁぁぁん!!」
「あーん、ビートがおもらししたぁ」

 二人の子供がおもちゃの取り合いで喧嘩しはじめ、
 部屋の片隅で違う子供が突然泣き出す。
 その子を宥めに行こうとしたら背後で今度はお漏らしの報告。
 幸い分別のある子が喧嘩の仲裁に立ってくれたので
 サラは雑巾をとりに向かった。
 その背後に忍び寄る謎の影。
 突然、ばさりと言う音がした。

「え?!」
「やーい。さらのぱんつはしろ~」

 スカートめくりされたのだ、とサラが気付く前に。

「あ、こら!クルゥ!!」

 マリスの拳骨が少年の頭に決まっていた。

「サラお姉ちゃんにごめんなさいしなさい!」
「いてててて…」

 クルと呼ばれた少年が涙目になる。 

「謝らないならもう一発殴るからね!」
「あの、子供のした事だし私なら気にしないから、マリスもその辺で…」
「駄目ですよ。サラさん。もっと厳しくしないと。
 甘い顔をするとすぐ付け上がるんですから。
 世間でこういう事するようになったら痴漢ですよ!痴漢。
 あ、これ、待ちなさい!」

 マリスの力説の隙に逃げ出す少年。
 
「へへーーん、つかまんないもんねーー!マリスのばーか!」

 アッカンベーをしてそのまま逃げの体勢に入る。

「……サラさん、眠りの雲であいつ眠らせちゃって下さい」
「いや、マリス…さすがにそれは…」

 (マリス、怒ると怖いかも…)

 サラは顔を引きつらせて笑った。 


続く
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