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こちらはカードワースのリプレイっぽい書き物置き場です。
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冒険者達の休日(後編)
2010-04-19 Mon 04:13
 小さなランプが一つだけ輝く淡い闇の中…。
 香炉や力を秘めた石が飾られた小さな天幕に光が射しこんだ。
 入り口の暗幕が開かれたのだ。
「ようこそ。占いの館へ」

 めくったままのタロットをそのままに、占い師は客をいざなった。
 淡い色の長い髪に静かでまっすぐな目の青年だ。 
 はっきりいって占いに頼るような人間には見えない。

「いらっしゃいませ、騎士様。元、はつけたほうがよろしいですか?」

 普段の客ならば、この言動に驚愕を浮かべるものだが、
 青年は冷静なままその言葉を受け流した、ように見えた。
 しかし、目元がほんの少しだけ反応したのを彼女は見逃さない。
 それに気をよくしながら、相手の返答を遮るように答えを紡ぐ。 
  
「今日は退屈なので次に来るお客様を占っていたのです」
 
 柔らかな笑みを浮かべながら逆さまのカードをつつく。

「…あいにく、占いを依頼しに来たわけではない」
「その様ですわね。お探しものは?」
「こちらが先日占い用の水晶を購入された、との事だが…」
「見てのとおりです」

 卓の片隅にある水晶は、大きく澄んだ上等のものだったが、
 それは彼女のものであって彼の探しものではない。
 彼自身、期待もしてなかった。そんな目だ。

「分かった。突然押しかけてすまない」

 あっさりと青年は天幕を出て行った。
 残されたのは占い師一人だけ。

「あらあら、占いの館で占いを聞かないなんてお忙しいお方」 

 目の前に広げられた大アルカナのカード達を前に彼女は呟く。
 とはいえ、聞かないほうが幸せな事もあるだろう、とも思う。
 誰もがその結果を受け入れられる訳でいるわけではない。
 けれど…。

「どんな苦難にあったにしてもすでに過去は過ぎ去っている。
 今の行いの無意味さに気付き、その強い意志を行動にて示せれば」

 唯一開いていなかった最後のカードを表にする。そして一つ微笑んだ。

「…希望は紡がれる」

 現れた『THE STAR』が彼の未来を祝福していた。


************************************

 
 夕暮れ時の宿では一般の客も多くなる。
 冒険者相手が基本なだけあって安くて量はあるし、何より美味いからだ。

「ただいまーっと……あれ、まだセアルだけか」

 そんな中帰ってきたリックだが、見回しても彼の仲間は一人しかいなかった。

「おかえりなさい。ずいぶんとお疲れのようですね」
「やっと訓練終了。長かった…」
「あぁようやく講習終了ですか」

 ここ数日、リックは盗賊ギルドに入り浸っていた。
 冒険者の間では『盗賊の目』『盗賊の手』と呼ばれる技術を習得するためだ。

「これで何も出来ない影の薄い奴、とか言われずに済みますね」
「え? 俺そんな風に言われてたの?」
「まさか、私がそう呼んでいただけですよ」
「そういうのは心に留めておいてくれ、結構へこむ」

 落ち込んだ様子のリックを慰める事もなく、セアルは片手のペンを滑らせる。
 新たな歌を作っているらしく、その筆が止まる事はない。
 当然の事ながらリックも本気で落ち込んだわけではないのだが。 
 
「冗談ですよ、今の私はリッチ討伐の詩を作成するので手一杯です」
「また捏造か…ま、そんだけデタラメなら守秘義務なんて関係ないだろうけど」
「英雄譚なんて捏造と誇張の産物です。名が売れればこちらも潤う。そういうものです」
「俺は知らないからな、そのうち真に受けたやつがドラゴン退治依頼してきても」
「まぁそれも冗談として……」
「お前、どこからどこまでが冗談なんだよ…」
「では、真面目な話をしましょうか」

 呆れ果てた様子のリックに、一つ苦笑したセアルは書き続けていた筆を止める。

「今のところ私達は難易度の低い依頼ばかり受けてきました。
 あなたの技術の上昇で今後は罠等がありそうな所へも行けるでしょうが、
 問題点がそれだけでは無い事は、先の依頼で身に染みたでしょう?」
「……あぁ」
「皆さんは冒険者として未熟です。私も含めて、ね」
「お前は別だろ?」
「いえいえ、そんな事はありませんよ。
 詩人は全てを見届けるものですが、前回手出ししてしまいましたしね。
 親父さんに頼まれては仕方ありませんが」
「じゃ、お前は俺達を見捨てるって事か?」
「物語が面白くなるのなら、そうすべきなんでしょうね。
 私だって……今はまだそこまでは割り切れませんよ」

 どこまでが本当なのか、盗賊の目を覚えたはずのリックにも分からなかった。
 彼の表情は微笑を浮かべたまま動かない。ポーカーをする時のように。

「ただ心配なのは…皆さんは感情で動きますからね。
 ……貴方までそうであってはたまらない」
「え? なんでさ」
「戦闘での生命線が癒し手の存在なら、盗賊は戦闘以外での生命線だからです。
 本当に危険な時は引く事も進言するのが仕事ですからね。
 特にサラさんは情に流されやすい所がありますし。
 貴方の判断がより重要になってくるわけですよ」
「まあ、なぁ…」
「では、私は一度片付けに部屋に戻ります。
 もう夕食は済ませてありますしね。
 そのうち今日作った『レイス退治の唄』を聞かせて差し上げますよ」
「さっきリッチだって言ってなかったか?おい」

 2階の廊下を歩いていると、酒場の喧騒に混じって
 皆が戻ったのであろう明るい声が響いた。
 こうして一日が過ぎるのは幸せなのだろう、と思う。  
 少なくとも五体満足で休日を過ごせているのだから。
 そう…それが次の冒険までの短い間にしても。
 大きなミスにより、誰かを失うまでだとしても。

「盗賊が、皆が逝ってしまった後に悔やんでも、後の祭りですからね」
 
 ポツリとつぶやかれたその苦さは、どこか実感がこもっていた。


************************************

盗賊の眼、盗賊の手『交易都市リューン』齋藤 洋様 →リックへ
 
出費:-2000SP
合計所持金:1100SP

 カードワースのリプレイといいながら、今回はほぼ完全に幕間です。
 なんとなく書きたくなったので、としかいいようがない。
 遺跡のお供の二つをゲットしたので、次は何をやろうかなぁ?
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