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酔っ払いを追っ払え
2010-05-22 Sat 02:12
シナリオ名 :酔っ払いを追っ払え
製作者 :need様
入手場所 :ギルド(作者様のページはこちら


 リューンの街に春が来た。
 冬の間眠っていた街路樹に、次々と小さな蕾が生まれていく。
 中には忘れ雪をその梢に乗せているのに気付いていないかのように、
 淡い薄紅色の花を綻ばせているものもあった。

 また季節が変われば、人々の行動も変わる。
 リューンはこの近隣はおろか大陸でも有数の大都市だから、
 人々の往来は日に日に増えていくばかりだ。
 寒さに篭りがちだった日々を忘れたかのように、
 街中を多くの人が歩き、数多の店が軒を並べている。

 だから、【星の道標】は今日も盛況だった。
 旅先から戻った冒険者や、冒険者を雇いに来た商人、
 近所の一般市民までもが生を謳歌するように、明るく飲み交わしている。

 そんな中、奥のテーブルを占領したサラ一行。
 卓にはまだ夜には早いというのに多くのご馳走を並べ、
 一人の女性を囲んで今まさに大宴会が始まろうとしていた。

「さて…では、リーダーとして乾杯の前にお祝いの言葉を」
「長いから却下」
「姉ちゃんはやくはやくー。オレいい加減お預け辛いよ」  
「仕方ないなぁ、じゃ、やりますか、皆グラスは持ったわね?」

 グラスに注がれているのは親父からの心尽くしである上物の果実酒だ。

「では、マリスの誕生日をお祝いして…かんぱーい!」
「乾杯!!」

 6つのグラスが掲げられる。

「お、マリス。誕生日おめでとう!
 親父、アーシウムの赤をあっちのテーブルに。あ、ツケでな」
「おめでとうー。ふふ、喜べるのも今のうちよ」
「あ、ありがとうございます」

 外野の先輩冒険者達からも明るく声をかけられて
 マリスは少し照れながら頭を下げた。
 冒険者同士の仲が悪くないのは、この宿の特徴といえるだろう。
 親父の教育がいいからか、彼らは助け合う事を知っていた。
 生き馬の目を抜くこの業界ではなかなか難しい事だ。

「でも意外だったわー。マリスがこれで19歳だなんて。
 私もお姉ちゃんって呼ぶべきなのかしら?」
「そのままでいいですよ。気にしないで」

 一杯目の途中で既にサラの耳は赤くなっている。 
 その隣でハーロが羨ましげに、酒の入ったグラスを見ていた。

「お酒いいなぁ…」
「ま、お子様はジュースでも飲んでろって」
「ハーロも後1年ちょっとの我慢ですよ。
 15歳になるまでは親父さんがうるさいですからね」
「でも、冒険中の葡萄酒はいいのに何で酒場では駄目なんだよ…」
「それがこの店の規則ですから。
 それに酒には心を静める効果がありますし」

 いつもどおりな酒場の中でいつものメンバーが明るく騒ぐ。
 静かなフィリオンもマリスと目があうと小さく微笑んで、
 マリスは内心小躍りしたのだが。
 パーティが終わったのとほぼ同じ頃、酒場にざわめきが起こった。


************************************


 少し時間を遡った町の中。
 暗い顔をして町を彷徨い歩いていたある男が、
 通りすがりの街路樹に小さな花のつぼみを見つけた。
 春の訪れを感じて寂しげに微笑むその男は、手元の銀貨を確かめる。
 懐はいつも寒いけれど、多少飲む位は残っていた。
 春に乾杯しながらいっぱいひっかけよう。
 彼はそう思いながら、適当に選んだ店へと入っていった。
 すると店内にざわめきが巻き起こる。

 もじゃもじゃなひげを揺らして【星の道標】に入ってきたその男。
 彼は、身長2m近い熊の様な大男だった。
 しかも。

「なぁんだとぉ?!ヒッ、おれさまにろませるさへはにゃいってんろかー?!」

 大変酒癖が悪かった。
 杯を重ねるごとに泣き、わめき、大声で怒鳴り散らす。
 その酒癖の悪さに親父が止めに入ると逆切れした彼は暴れだした。
 投げられた皿が宙を舞い、美味しいスープが地面に零れ、
 椅子とテーブルがおもちゃの様に砕け散る。
 仕方なく…仕方なく宿の親父は禁断の一言を発した。

「誰かそいつを追っ払えっ!300SPだすぞーーーっ!」


************************************


「オッケー!オレがやる!!」

 お金の事には敏感なハーロが誰よりも早く前に出た。
 美味しいものを飲み食いしてコンディションはいつになく良いし
 樽や机などが壊されてがらんとなった宿の酒場は戦うにはもってこいだ。
 鞘から抜かずとも鈍器として扱えそうな重みのある両手剣を構え、
 軽くポーズをとってみせる。
 野次馬からおおっと歓声が上がった。 
 その場にいた先輩冒険者らは彼を面白そうに眺めている。
 この程度のはした金で動くつもりはないのだろう。
 こそこそと話していたハーロの仲間達はそれをやや遠巻きに眺めながら
 何事か作戦を練っている、ように見えた。
 やがて、意を決したのかセアルが竪琴を構えて叫ぶ!

「さーて、酔っ払いは誰に勝つのか負けるのか!
 英雄ハーロが圧倒的に有利なこの状況、番狂わせはあるのか!
 一クチ10SPですよー!」
「お、お前ら…」

 親父が眩暈でも起こしたかのように頭を抱える。

「あ、俺はあの大男にかけるよ。ハーロもまだまだ駆け出しだし、
 大体セアルの話が嘘っぱちなのは皆が知ってる事だしな!」

 リックの言葉に聞いていた冒険者達がどっと笑った。

「く、認めるべきか認めないべきなのか…」

 振るわれた大男の豪腕を、ぎりぎりの所でかわし、
 ハーロは実に情けなさそうな苦笑を浮かべた。
 リックに釣られたのか、数人の野次馬が酔っ払いに賭けていく。
 その様子に冒険暦の長い者達は忍び笑いを押し隠す。
 彼らは当然気がついている。セアルが胴元でリックはサクラ役。
 仲間の腕前を信頼してるからこその票操作。

「お前ら…もっと真面目にやってくれよ」
「いやー、ちょっと刺激に飢えてたんだよ。遊ばなきゃ損損♪」
「もう、貴方も酔ってるでしょ。サラちゃんはどこに行ったの?
 あの子ならただで眠りの雲を使ってあの人止めてくれそうだけど…」
「ああ、サラ?サラなら…」

 リックはにやりと笑ってカウンターの向こうを指差す。
 誰が避難させたのか、彼女はそこですーすーと安らかに眠っていた。
 頬を林檎のように赤く染めている。ほんのりと漂うのは果実酒の甘い匂い。
 大男とハーロの戦闘でかなりの物音がしているのだが、
 まったく目覚める様子はなかった。

「きゃあ!」

 酒場の中心のほうで甲高い声がした。
 フィリオンと共にもしもに備えて様子を見ていたマリスに、
 ハーロの攻撃でよろめいた酔っ払いが突っ込んできたのだ。
 大男と酒場の壁板に挟まれて、マリスは強く体を打ち据えられた。
 痛みを堪えながら自分に向けて癒身の法を唱える彼女。

「…少し暴れる程度なら、余興と笑って済ませてもやれたんだがな」

 フィリオンの繰り出した渾身の一撃が酔っ払いの意識を一瞬で吹っ飛ばす。

「勝者、フィリオン!」

 審判役のセアルが白い旗を振った。 


************************************


「はーい、配当金配りますよ。外れた人残念でした」
「あーあ。外れた外れた」

 口では悔しそうに嘯くリックだが、あまり気にしているようには見えない。
 もともと彼の役目は一人でも多く参加させるためのサクラである。
 そして、賭け事の胴元とは誰が勝っても儲かるようになっているのだ。
  
「ちょっと待て!部外者だろう、あれは」

 中にはフィリオンの勝ちと言う結果に突っかかるものもいたが、

「いえいえ?私は言いましたよ。酔っ払いに勝つのは誰かって」 

 涼しい顔でセアルはそう流した。

「それにしてもマリス姉ちゃん、せっかくの誕生日だったのに」
「いや…あれが一番のプレゼントになるかもな」

 座り込んだままのマリスの前に手が差し伸べられる。

「…大丈夫か?」
「は、はい!」

 フィリオンに心配されている彼女は実に幸せそうな笑顔を浮かべていた。
 
「バカップル見習いは暫くほっときましょう。むしろこちらの方が…」

 セアルが指差す店の隅。 

「明日からどう営業するかね…」
「お父さん…」

 ぼろぼろになった店内を見回して、親父達が頭を抱えていた。



 翌朝。



「何?これ何?一体何が起こったのよー!?」

 テーブル一つも残っていない階下のあまりの惨状に、
 何も覚えていないサラが悲鳴を上げたのは言うまでもない。


************************************

シナリオ名 :酔っ払いを追っ払え
製作者 :need様
入手場所 :ギルド(作者様のページはこちら

依頼料:+300SP
その他の収入:+182SP
合計所持金:5532SP
クーポン:酔っ払い追っ払い(+1)


このシナリオは奥が深いです。
中身は短いのですが、パーティそれぞれが個性ある行動を取れます。
今回のメンバーはサラに関しては(文中に書いてある理由で手出ししそうなので)寝る。
リックとセアルが賭けをする、ハーロが名乗りを上げてフィリオン達が様子を見る。
色々脳内で動かしながら凄く楽しくかけました。
文中マリスがお誕生日でしたが、一行も3レベルにアップです!
強くなったと実感できそう。
さて、次回ですが宿がぶっ壊れたので暫く別の街に行こうかな、と
いう話に持っていこうと思います。でもどこに行くかなぁ…。
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