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こちらはカードワースのリプレイっぽい書き物置き場です。
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フロンティア(前編) 2 語り:2人+α
2012-01-22 Sun 02:57
 
**フィリオン*****************************
 
 
「へえ、昼間はそんな事話してたんだ」
「ええ。ハーロ君に御者を変わってもらったおかげですね。
 とても楽しく過ごせましたよ」
「ちぇ、オレは退屈だったってのに」  
  
  真夜中、視線の先の長閑な光景に私は緊張を緩めた。
  そちらでは焚き火に当たりながら、ハーロとマクビー氏が談笑している。
  足音に、この地域に出る先住民族の可能性も考えたのだが、
 どうやらそれは杞憂に過ぎなかったらしい。
  よく考えれば、二台の幌馬車の片方で眠っている女性陣はともかく、
 あの二人が不審な物音を聞き逃す筈がない。
  しかし、今更あの光景の中に入って行くのも、少し躊躇われる。
  楽しそうに語り合っている二人の姿は仲のいい親子のようにも見え、
 それを無粋に壊すのも、どうにも気が引けた。
 
(よく考えれば、ハーロはまだそんな年か)
 
  勿論、彼がまだ子供の範疇にある事は理解しているが、
 戦う姿を見ているとつい一人前に扱ってしまう。
  それにしても、動けばハーロに気付かれそうだ。どうするか……。
 
「ハーロ君は、どうして冒険者に? ご家族が心配されませんか?」
「ああ。ご飯食べたいからね。親も冒険者だったから素質もあったし」
「そうですか……ハーロ君は力が強いですし、
 さぞかしご両親も立派な冒険者だったんでしょうね」
「どうだろ? 二人とも依頼の途中で死んじゃったから」
「……」
 
  聞くべきではなかったと思っているのか、
 焚き火に照らされながらもマクビー氏は少し青褪めている。
  ハーロはそんな様子に気付かないまま、肩を少し落としていた。
 
「ま、オレが生まれたせいで一度は田舎に引きこもってたんだけどね。
 連続の水害でどうしてもやっていけなくなったんだ。
 飢えて死ぬよりは冒険者の方が実入りがいいって思ったんだろうけど、
 それで死んじゃったんじゃなぁ」
「……辛い人生を歩んでいたんですね」
「んー、でも、オレの事宿においといてくれてよかった、とは思うよ。
 遺品売ったりはしたけど親父がある程度は食べさせてくれたから。
 村の誰かに預けられてたら、下手したら農奴か飢え死にしてただろうし」
 
  今は安心してご飯食べられるしね。美味しいからなおよし。
  そう付け加えてハーロは笑った。  
  正直、私は彼について何も知らなかったようだ。
  同じ部屋で寝泊りしていながら何も。
  そこまで困窮した経験は私にはない。
  彼より楽に生きてきた、とは言わないが、しかし……。
   
「きっと……」
「ん?」
「ご両親も貴方の今を誇りに思ってくださいますよ。
 《星の道標》の冒険者は皆、派手さには欠けるが仕事が丁寧だと、
 我々行商人の間では評判ですから。
 ああでも、綺羅星のような英雄が所属してるという噂も」
「ごめん、これ貰うね寒くなってきちゃった」
 
  慌てて話を遮ったハーロは、傍らの葡萄酒の袋を一気に呷る。
  ぽんっと肩を叩かれれば、私の後ろにはセアルがいた。
  もう行こう、とでもいうように、寝床の方角を指差す。
  確かに、ハーロが挙動不審な今なら気付かれずにそれが出来そうだった。
  
  二人してしばし無言で、葉の枯れ落ちた木の下を歩く。
  なるべく忍ばせているのだが、私はどうしても足音を立ててしまう。
  一度不安で背後を確認すると、焚き火の明かりの向こうで
 寝入ったらしいハーロにマクビー氏が毛布をかけていた。
  
「セアルは今の話を……」
「さぁ、何の事やら」
 
  枯葉を踏みながら足音も立てず、彼は私に何も答えなかった。


**マクビー******************************
 
 
  白状します。
  正直、当初はこんな若者だけで大丈夫なのか、と少し不安でした。
  ただでさえ、去年まで頼んでいた宿が潰れたせいで、
 初めての宿への依頼となりましたし。
  しかし、その宿のマスターから、
  
「丁度いい奴等がいるんだよ。
 有能なのは確かだ。自分達じゃまだ気付いちゃいないがな」
 
  と、太鼓判を押された事と、待ち合わせに随分遅れたにも関わらず
 律儀に待ってくれた彼らから善良そうな雰囲気がした事が決め手でした。
  冒険者には、護衛対象の身包みを剥ぎ命を奪う輩もいると聞きます。
  ましてや、この片道一ヶ月の長旅には私とセレシュだけではなく、
 開拓村で我々の物資を待つ人々の命が掛かっている、とも言えるのです。
  幸い、道中では橋が壊れていた程度のトラブルしか起きず、
 冒険者の皆様とも楽しく過ごせたと思います。
 しかし、明日には上手くすれば到着できるかも、と安堵していた矢先、
 それは唸りを上げてやってきました。

  狼です。狼が襲ってきたのです。
 
「あぁ、こ、これは何とした事だ?!」
 
  去年までこの辺りにこんな群れはいなかったですよ?!
 
「セレシュ、今のうちに馬を近くへ」
「うん!」
「マクビーさん、焚き火を絶やさぬようお願いして良いですか?」

  セアルさんからの指示に私は慌てて火の中に枯れ木を数本押し込みました。
  ああ、けれどこの唸り声。十や二十、いやそれ以上か。

「この焚き火を中心に荷物や馬を集めて下さい。後は私達が守りますから」

  道中は快活な少女にしか思えなかったサラさんが、
 いつになく凛とした口調で断言します。
  獣は火を怖がりますからね、と付け加えて。

「いえ、でも……丸くなるんですか? 逃げた方が!?」
  
  六対多数なんですよ?! 一人でも落ちれば破られる気がします。
 ましてやこの暗闇だというのに。お尻を噛まれるのはごめんです!

「馬車よりも彼らの足の方が速いですし、夜中に全速力は出せませんよ」
「……それよりは、夜明けを待った方がいい」
「狼は夜行性だもん。ね、ジャック」

  そういう彼らの傍らにも一匹の狼がいます。
  大変大人しく、向こうで唸ってるのと同じ生き物とは思えませんが。
  その間も遠吠えはこちらに近づいて……
 ああ、包囲されてる、無理だ。もう逃げられない。
    
「分かりました。セレシュ、馬に目隠しを……」

  しかし、それは今思えば誤った判断でした。
  狼に興奮した馬が、セレシュを振り落としてしまったのです。

「セレシュ!!」

  慌てて呼びますが返事はありません、打ち所が悪かったのか?!
  久方ぶりの獲物に狂乱する狼。
  その目前に転がる気絶した少年。
  私は、息子のようなあの子の喉笛が食い破られるのを
 見届ける事など出来ず顔を背け……

「やらせるかっ!」

  と、その時、私の真横を一陣の疾風が吹き抜けました。
  はっと目を見開くと、飛び出したハーロ君が、
 その一匹をあっさりと両断した所でした。
  その隙にリックさんがセレシュを抱えて戻ってきます。 
  医者のような手つきで彼の体のあちこちを確認したセアルさんが、
 
「大丈夫です。軽い脳震盪を起こしたのでしょう」

  と太鼓判を押してくれました。ああ、神様ありがとう!
  ですが、こちらにそんなに手勢を割いては反対側が、と見ると

「大丈夫だ」 
「上手く効いたわね。あっちの狼はもうぐっすりよ」

  確かに、暗くてよく分かりませんが、黒い塊があちこちに落ちています。
  仲間の血の匂いを嗅いだのか、その向こうからなおも狼は駆けてきますが、
 その前に立ちはだかったのはマリスさんでした。
  
「よくもセレシュ君を苛めましたね!天罰覿面!」

  彼女の手から四方へと伸びた聖なる光。
  それは群れなす狼のことごとくを打ち据えていきます。  
  これが神の怒りというものなのでしょうか。私、聖北教徒でよかった。
 
「どう考えてもとばっちりですねぇ……」
  
  そう呟くセアルさんの声は聞かなかった事にしました。
 
  かくして一行はその後も危なげなく狼を倒して下さいました。
  そして、私達は朝の光を浴びる事が出来たのです。


「おいら、生きてる、無事なんだね」

  気付けの葡萄酒で意識を取り戻したセレシュが、何処か呆然と呟きます。
  しかし、それも無理もありません。
  ほのかに明るくなり始めた荒野の、そのあちこちに転がる黒い塊。
  こちらを円のように取り巻くそれが皆狼の死骸だとは。
  この道のりでこれほど大きな群れに襲われたのは生まれて初めてです。

「生きてる、生きてるとも。セレシュ……」

  それ以上は言葉になりません。
  年の近さからか我が子とどこか重なるセレシュ。
  その危機は私に計り知れないほどの心痛を、
 無事は心から溢れんばかりの安堵をもたらしました。
  荷物より何より彼が生きていてくれた……それがただ嬉しい。

「ありがとう、ありがとう、貴方達に依頼して、本当によかった……!」
 
  大した敵じゃなかったから、と戸惑う彼らには分からないでしょう。
  しかし、朝焼けに照らされながら、私は心から彼らに感謝したのでした……。


 **セアル******************************


突然ですが、ここで後編の予告です。

身に覚えのない容疑を掛けられた冒険者一行。
サラさんに近づく謎の影。
彼らの辿り着く先は本当にハッピーエンドなのか。
雄大なるフロンティアに今危機が迫ろうとしている……。
次回「フロンティア~後編~」乞うご期待っ!

ハーロ「デタラメ言うなっ!」

えー、大きく外れてはないですよ。
……というか私のかたる場所今回これだけですかっ?! 扱い悪いですよ!


************************************

シナリオ名 :フロンティア(前編)
製作者 :レシェ様
入手場所 :ギルド

入手スキル:氷烈斬(知識と技術の店)→フィリオン 狼顎咬(風鎧う刃金の技)→ハーロ
盗賊の眼、盗賊の手、暗殺の一撃(鼠の行路)→リック

出費:
2800sp→フィリオン、ハーロのスキル代。
3000sp→リックのスキル代。今年分の盗賊ギルドへの年会費相当
残り→落としたり傷薬やらを買い占めたり

出費合計:9056sp
合計所持金:24SP

入手アイテム:売却予定の傷薬などがいっぱい
クーポン:フロンティアへの旅路(+1)

 祝・4000人到達! さらにこれで祝・20話到達です。
ありがとうの気持ちを込めて更新させていただきました。  
 ちなみに、真面目に別のを消化しようとしてた筈が脳内ハーロが遠くに行きたいと泣き喚き、
東西南北遠くに行ってみた結果一番イメージにあっていた西へと旅立ってみましたが、
のんびりした馬車の旅、いかがでしょうか? 
(どんどん先送りにしたリクエストが増えています。ピンチです)
ちなみに今回サラ達だけではなく、NPCのマクビー氏を一人称にしてしまったので、
キャラ性を壊してないか心配です。
一応カード裏や各ルートでの言葉で性格を構築したつもりですが、
大きく間違ってる部分などお気づきの方はどうぞ教えてください。
ところで、皆強くなってきてますが、リックの技能がなぜか更新されました。
が、それは、リューン技能から暴露とか付きの同名スキルにする事によって
彼も成長してるんだよってのを見せたかったからです。
私自身は基本的にはリューン技能のままが好きですが、
書き物的には戦闘で使うスキルがない分どうしても動きが地味になってしまうので…。

 さて、後編は……少しお待たせすると思います。何せまた書けない日が続いてる。
でも、出来るだけ急いでがんばりますので、応援よろしくお願いします。
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コメント
★ 良い雰囲気ですね
どうもこんばんは、周摩です。
パワーアップした! と思ったら一気に金欠になってますね(笑)
ギルドの年会費かー、その発想はなかったです。
機会があったらそのネタ、使わせてくださいっ!

今回、ハーロ君の過去を知ったフィリオンさんの心情描写が特に印象的でした。
現在があるなら過去もあるわけで。
十人十色の過去は本人はそうでなくても他人からすれば驚くほどのものだったりするギャップというのは、キャラクターの『っぽさ』を押し出すから良いですよね。
ハーロ君の場合、『現在を楽しく生きている』感じが物凄く出ていて印象深いです。

というかセアルさんの次回予告が予想外すぎて笑ってしまったんですけど!
しかもあながち間違っていない……というかほぼ正解ですね(笑)

ではではこの辺で。
次回作、楽しみに待っていますね。
2012-01-23 Mon 23:57 URL | 周摩 #xomJgpUE[ 内容変更]
★ Re: 良い雰囲気ですね
こんばんはー、感想有難うございます。
お金に関しては次回傷薬を売って半分以上は取り戻す予定です。一応。

年会費に関してはどうぞどうぞ。
特にいつ支払うとか基準があるわけでもないのですが、
前にリックが盗賊の眼と手を覚えたのも冬だったのであわせてみました。 
来年はどうなるだろう? 3000払うのは痛いかなー?

ハーロの事に関しては、前からある程度頭にはあったけど、やっと語れたかなーと思います。
ハーロがご飯にこだわるのは飢えたくないという一心だった、という。

セアルさんは歌などでなら(種族変えてみたり派手にしてみたりと)誇張はしますが
一応真面目な時に嘘は(必要だったり効果的な場面しか)あんまりつきません。
うん、多分・・・なんかいってて書き手が自信なくなってきた。
ある意味で大嘘つきだからなぁ・・・。
でもまあ、やったことある方には、どの言葉がどういう事を示すか、ある程度は分かる筈です。
まあ、一つだけ、今は分からないだろうと思われる文章もありますが・・・・・・。

とりあえずがんばって続きを書いてますので気長に待ってください。
周摩さんの続きの方も楽しみにしてますね。
2012-01-24 Tue 04:04 URL | 環菜(かんな) #-[ 内容変更]
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